Quantcast
Channel: 魔神機兵団の日記
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3180

八丁堀のおゆう②「両国橋の御落胤」・・・感想

$
0
0

---------------

●お話

江戸と現代で二重生活を営むOLの関口優佳・通称おゆうは、大津屋の主人から、息子の清太郎が実の子かどうか調べてほしいと相談を受ける。清太郎を取り上げた産婆のおこうから、清太郎の出生に関する強請りまがいの手紙が届いたという。直接話を聞こうと、消息を絶ったおこうの行方を追う優佳であったが、そこで同心の伝三郎と鉢合わせる。老中からの依頼で、さる御大名の御落胤について調べているらしい。そんな中、清太郎が謎の男たちに襲撃され、さらにはおこうが死体で発見される――。
ふたつの時代を行き来しながら御落胤騒動の真相に迫る! 『このミス』大賞シリーズ。
~Amazonより~

---------------

●感想

1巻が面白かったので、

2巻も買ってみたけど、

これも面白かった照れ照れ照れ

夢中で読んでしまった。

 

お話のところに

江戸と現代で二重生活を営む

OLの関口優佳・通称おゆうは、

・・・とあるけど、

この説明は間違いで、おゆうは、

江戸時代の探偵家業に本腰を入れるため、

現代では仕事を辞めてプータローになってます。

ですので2巻では、

現代での収入をどうしよう?・・・みたいな、

苦労話もあったりします。

 

今回のお話ですが

おゆうは家の近所にある

小間物問屋大津屋の店主から、

自分と、20歳になる自分の子供に、
血の繋がりがあるのかどうかを調べて欲しい。
・・・と言う妙な依頼をされます。

 

その理由は
20年前に息子を取り上げてくれた
産婆のおこうから脅迫状が届き、
その脅迫状には、
あの日は2人の子供が産まれていて、

その子供とお前の子供を故意にすり替えた。
そのことをバラされたくなければ金を出せ!!
・・・みたいなことが書かれていたから。

おゆうは

現代に戻って、
科捜研の下請けをやってる

学生時代の友達にDNA鑑定を依頼し、
二人が本物の親子であることをすぐに突き止める。
いくら
江戸時代にはDNA鑑定がないとは言え、
実際にはすり替えた事実のない、

それも一般家庭の親子へ

脅迫状を送ると言うのはどういうことだ??
・・・という謎がまず生まれた。

それに大津屋さんは

20年共に暮らしているから、

血の繋がりがあってもなくても自分達は親子だし、
近所にバラされても何も困らない。

・・・と言っており
恐らく江戸時代の多くの家庭がそんな感覚なので、
そもそも脅迫にすらなっていないから、
こんなことして何の意味が?
・・・という二つ目の謎が生まれた。

それでも

真実(血の繋がりの有無)は知りたい。
・・・という大津屋さんだが、

まさかDNA鑑定の結果を見せる訳にもいかないし、
見せても信じてもらえないだろうから、
大津屋さんを脅迫した理由を問いただし、
二人が親子であることを証言させるために、
おゆうは、

産婆のおこうの家を訪ねる・・・が、

おこうはしばらく家を留守にしているらしい。
代わりに

別の事件で産婆のおこうを捜していた
八丁堀の同心鵜飼と遭遇する。

 

おゆうは

鵜飼の担当する事件の捜査をよく手伝っている。

そんな関係を重ねるうちに好きになってしまい、
いつの日か恋人になりたいと考えていて、
そんな鵜飼もおゆうのことは好きなのだが、
鵜飼は謎の多いおゆうに、

完全には心を許しておらず、
彼女の謎が判明するまでは・・・と、
自分の心にブレーキを掛けていた。

 

そんな鵜飼は
老中の特命で、
ある御大名の御落胤について調べていた。
(御落胤=認知されていない子供のこと)
その大名の、

かつて愛人だった女性が妊娠をしたが、
とある理由から認知をしてもらえず、
妊娠騒動を機会に城を追い出されていた。
鵜飼は、今から20年前に

御落胤を取り上げた産婆のおこうに、

御落胤、あるいは母親(愛人)の行方を聞くため、

おこうの家にやってきていた。

 

そんな訳で
目的は違えど、
同じ人物を捜す二人は合同捜査を行うことに。
その後
この事件は想像より大きく闇が深いことが分かり、
その大名の下で働く家臣も捜査に加わり、
3人で捜査を行うことになる。
というのが冒頭のお話

今回は、

本庁の刑事と探偵の名コンビの捜査に、
所轄の刑事が加わる。

・・・みたいなイメージかな?

 

この事件
読者である我々は、
犯人であろう怪しい人物はすぐに特定できる。
(・・・と思う。)
しかし
江戸時代を捜査するだけでは、
事件の全貌や、
事件を起こした理由が完全には分からないし、
犯人は完全犯罪を目論んでいるため、
状況証拠は見つかるが物的証拠が見つからない。
そこで現代での、
文明の利器を使った捜査が活きてくるのだが、
(科捜研に頼るだけが文明の利器ではない)
そもそも
おゆうは文明の利器に精通していないため、
文明の利器を多用はしない。
ここぞという時に仕方なく使うイメージ。
それでも
トコトン追い詰められての、

とっておきの秘密兵器。
・・・みたいな展開になるため、
その秘密兵器で得た結果を、

如何にして未来のモノと分からないよう、

江戸時代で披露をするのか?
・・・というところで苦労をするのも、
このシリーズの面白さの1つ。

今回は特に、そういうところが面白かった。
そして
秘密兵器で得た証拠を

犯人に突きつける場面では、
犯人が

そんなのあり得ない・・・みたいな顔をして、

その顔を見てドヤ顔するおゆうも、
このシリーズの面白さで、

読んでいてこっちまでニヤけてくる。
 

捜査に苦労し
その中で見つかる点と点が、
少しずつ点線になっていくが、

江戸時代の捜査だけでは点線にするのが精一杯で、
そこに

現代で得たデータや証拠を合わせることで、
ようやく1本の線になる。
・・・という展開の描き方が、
本当にめちゃくちゃ巧い。

しかし

おゆうがそういう捜査をしていることに、

八丁堀同心の鵜飼はなんとなく気づいていて、

気づいているけど

それをおゆうに悟られないようにしていて、

そういう複雑な恋のやり取りも、

このシリーズの面白さ。

 

今後の恋の展開が

めちゃくちゃ気になります。

3巻も買ったので、さっそく読んでみようっと。

---------------

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 3180

Trending Articles