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●お話
二年前に死んだ相麻董が、能力により再生した。ケイは彼女が平穏な生活を送るため、咲良田の外に移り住むべきだと考える。だが、能力が存在しない世界は、相麻にどんな影響を与えるだろう?それを調べる実験をするため、ケイは九年間眠り続ける女性の「夢の世界」を訪れる。しかし、現実が忠実に再現されているはずのその世界には、いくつかの相違点があり…チルチル、ミチル、そして幸福の青い鳥を巡る、シリーズ第5弾。
~「BOOK」データベースより~
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●感想
サクラダリセットと言えば、咲良田(サクラダ)の街で発生した、超能力に関連する事件や事故を捜査し、最終的に「リセット」の超能力を使って解決する、という「探偵モノ」(みたいなもの)です。
このシリーズの魅力の1つに、事件の構造は複雑だけど、読むととても理解しやすい、というのがあります。俺はそこが好きで読んでいるのですが、今回、探偵モノ要素はおまけで、メインは別のお話でした。
ちょっと残念。
なので、いつもは事件や事故が起こってから動き出す浅田ケイと春埼美空が、この5巻では、(特に浅田ケイが)自ら動きます。そのため、物語の流れや見どころも、これまでの4冊とはちょっと違います。
5巻のお話は、
管理局はまだ、相麻菫が生き返った事実を知らない。管理局に知れれば、相麻菫は当然、魔女として生涯幽閉されることとなる。主人公の浅田ケイは、彼女がそうならないために、管理局に知られる前に、彼女を咲良田の街の外に内緒で連れ出し(街の外に出ると能力に関する記憶をなくすから)、普通の女の子として生活させる、
・・・そんな計画を考えた。
そこで、「夢の世界」を作り出す能力者の下へ行き、咲良田の街が忠実に再現された夢の世界で、相麻菫脱出計画の予行練習をし、現実で障害や副作用となる事象を確認しようとする。しかし、夢の世界を作り出す能力者は、その計画に協力する代わりに、ある交換条件を提示してきた。
・・・というのが、この5巻のお話。
5巻は、なかなかページが進まなかった。
でもそれは、お話がつまらない訳ではなく、今回は事件の捜査よりも、「相麻菫脱出計画」に伴う様々な人間の、心理描写を描くシーンが非常に多く、(俺の場合)それぞれのキャラの心理を想像しながら読み進めていくので、想像する時間が非常に多かった・・・からです。
結果的には楽しめたけど、楽しさの種類が、1~3巻とは(一応4巻も含む)、大きく雰囲気が違ったのでやっぱりrそこはちょっと残念でした。
なんかね、相麻菫の死の理由は、咲良田の街の未来のため・・・みたいな、大きな正義があると思っていたけど、そこはまだ謎のままだけど、この5巻を読む限り、意外と個人的な理由で、しかも歪んでそうな気もするんだよね。例えば逆に、浅田ケイを咲良田の街の外に連れ出そうとしている・・・とかね。
だけど物語はそこへまた、管理局の歪んだ正義も絡んできている雰囲気なので、6巻、7巻は、なんか展開が荒れてきそうな予感だね。
現在手元に6巻まである。7巻は在庫切れだったんだよね。とりあえず、6巻もまた、楽しみに読みたいと思います。
早く7巻も買わなくちゃ!!
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