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●お話
取引先大企業
「来月末までで取引終了にしてくれ」
メインバンク
「そもそも会社の存続が無理」
ライバル大手企業
「特許侵害で訴えたら、…どれだけ耐えられる?」
帝国重工
「子会社にしてしまえば技術も特許も自由に使える」
―佃製作所、まさに崖っプチ。
~「BOOK」データベースより~
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●感想
池井戸潤さんの作品って
いつか読もうと思いつつずっとスルーしていたので、
まず手始めに、前々からタイトルを見て興味のあった、
これを読んでみました。
読む前に、タイトルから想像した内容は、
腕の良い職人揃いなのに、
今にも潰れそうな下町のある町工場が、
ロケット作りに携わることで再起する、
・・・そんな、
割とありがちなお話で、でもそのありがちなお話を
巧~~く展開させるんだろうなぁ
・・・くらいに思っていました。
ところが実際読んで見て、
だいたいそういう内容で間違いはなかったけど、
設定やプロセスが、想像とは大きく異なりました。
まず主人公。
町工場の社長なんだけど、職人ではなく、
夢と才能に溢れる(意外と若い)元研究者でした。
この「主人公が元研究者」ってところが、
物語の肝になっているので、
まさかあんな展開になるとは、読む前に想像できないよ。
・・・って感じです。
そしてその「まさかのあんな展開」ですが、
主人公が経営する佃製作所は、
大手企業から特許侵害で訴えられ、
大手企業を相手に、法廷戦争で真っ向勝負。
・・・そんな始まり方をします。
しかもその訴えは、
ずっとそういうやり方でのし上って来た大手企業の作戦で、
この作戦には、実は裏があるんです。
でも、もしかしたらこの本、法廷戦争だけで終わるんじゃね?
・・・と感じるほど長めに展開し、
さらにその内容も、次第に熱を帯びていきます。
町工場の話ではなく、裁判のお話なの?
・・・と感じたほど、
私の場合、序盤から良い裏切りに遭い、
一気に引き込まれました。
でもこの法廷戦争、結論から言うと、
本命の相手と戦う前の序盤戦みたいなもんで、
この裁判の結果が後に、主人公の工場の、
社内の和を大きく乱すキッカケになります。
私が一番印象に残ったのは、
いかにもTVドラマ向きの山あり谷ありな展開。
山の次は谷、谷の次は山、とにかく、
良いことがあると必ずその後に悪いことがあり、
悪いことがあれば次は良いことがあって、
山と谷がキレイに交互にやってくる。
悪いことがあるとその原因にイライラするし、
良いことがあるとその展開に熱くなるしで、
見事に作者の術中にはまっていたと思います。
いかにも連続ドラマ向きな展開でしたね。
・・・と思ったら、

Wikipediaによると、
以前にWOWOWでドラマ化されていました。
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