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●お話
ぼんやりした不安と不満を抱えながらも、平凡に暮らしていた三人の女性が、突然、高校時代にタイムスリップさせられてしまう。”未来の想い出”がリプレイされる毎日は、彼女たちの意識を少しずつ変えていく。そしていま、再び新しい人生へ! 人生は変えられるかもしれない……長編if小説。
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●感想
実は「希望の糸」と一緒に買った本です。
最近、
小説を読む頻度が減ったなーと感じて、
Amazonで文庫小説を探していたら、
この本が、
タイムリープモノでとっても面白い。
・・・的なことが書かれていたので、
暇つぶしに買ってみました。
「リセット」
というタイトルがいかにもすぎる。
・・・と思ったけど、
いざ読み始めてみたら、
想像よりよく出来た設定やストーリーで、
とても面白かったです。
主人公は、
3人の大人の女性(設定は47歳)です。
物語は、
兵庫県の青海町で、
高校の同級生だった3人の女性のお話。
3人は友達ではなく顔見知り程度の関係。
そんな3人が、
高校から30年後の東京で偶然の再会をする。
ただの顔見知りだけど同郷の懐かしさもあり、
近くにあった喫茶店「遠来の客」で
世間話でもしようということになった。
以下の女優さんは、
小説を読んで、
俺のイメージに近いと感じた人を、
独断と偏見で選びました。
(普段演じる役から想像したイメージです)
3人とも、
実年齢は47歳より下なのですが、
見た目や雰囲気がドンピシャなので、
この3人としました。
念のため繰り返すけど、
ドラマ化や映画化されてるわけではなく、
あくまでも俺のイメージです
(あくまでもイメージです)
■香山知子
見た目はお嬢様風のかわいい系で、
幼い頃から女優に憧れていたが、
自分には無理と挑戦もせずに諦めていた。
せめて結婚後も働きたいと思っていたが、
周囲の希望や世間の風潮などから専業主婦となる。
ところが両親の、
女は主婦以外の人生はない呪縛がトラウマで、
家では旦那が、それが当然のように何もせず、
家の仕事も、
互いの実家の仕事も全て押し付けてくる。
そもそも、
嫌なことを嫌と言えない自分のことはもっと嫌で、
人生(全て)にやる気を失っていた。
■黒川香
異性との付き合いを面倒くさいと考えていて、
自分が奥さんになるとか鳥肌モノと感じている、
長身&クールで男らしさのある女性。
頭がキレる上に器用なこともあり、
仕事が生きがいで現在はIT企業の副部長。
周囲のことも考えながら仕事をしていて、
我ながら頑張ってる(勝ち組の)はずが、
会社でも実家でも陰で悪口を言われている。
・・・というのに感づいてしまう性分。
そりゃあ私だって、
出来ることなら、
かわいい奥さんになりたかったよ。
・・・というトラウマを持つ。
■赤坂晴美
母子家庭で育ち、
母は小さな居酒屋を経営して愛人もしている。
本人は幼い頃からグレていて、
高校時代に妊娠&中絶をして高校を中退。
その後は風俗を経て、
現在は昼も夜もバイトを掛け持ちしながら、
子供の頃から今までずーーーーーっと、
貧乏な暮らしをしている。
せめて、
平凡な人生を送りたかった。
・・・というトラウマを持つ。
そんな3人が、
(あくまでもイメージです)
偶然立ち寄った「遠来の客」と言う喫茶店で、
互いにトラウマを隠しつつ、
高校三年生の頃を懐かしく話していたら、
突然!!
3人は今(2007年)の記憶を持ったまま、
高校三年生(1977年)に戻ってしまう。
劇中にさりげなく、
レコード大賞の話が出てくることで、
年号が明らかとなります。
数日様子を見たが、
どうやらこれは現実で、
あの喫茶店がタイムリープのキッカケ。
でもあの喫茶店は、
今の時代(1977年)にはないことを知り、
もう現代(2007年)には戻れないと悟る。
そこで3人は、
あの(大失敗の)現代(未來)にならないように、
人生をやり直す決断をする。
これ面白いのが、
まずは、
タイムスリップ
(自分は大人のまま子供の自分がいる世界に移動)
ではなく、
タイムリープ
(子供の自分に戻る)をするところ。
そして、
複数でタイムスリップの設定はあるけど、
複数でタイムリープの設定はあまりなく、
しかも、
3人同時にタイムリープするところが、
とても変わった設定に感じるし、
タイムリープするのが1回ではない。
主人公たちも、
何度も出来る?
という前提でやり直しの人生をしている。
そんなところが、
3人の思考にリアルさと人間味を感じた。
更には、
3人の関係が複雑で面白い。
3人は、
タイムリープ仲間として表面上は仲良しだけど、
元々顔見知り程度の仲なので、
自分の方がちゃんとしてる上に、
自分の方が苦労をしていると、
3人とも思い込んでいて、
互いに相手を(少しだけ)見下しているから、
そういう含みのある会話が多く、
でもその裏では、
本当は私の方がダメ人間かもしれない。
・・・と凹んだりもしている。
そんな心の浮き沈みに、
人生のやり直しが複雑に絡んでくるので、
なかなか読み応えがありました。
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