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●お話
「私、栗原君には失望したのよ。
ちょっとフットワークが軽くて、ちょっと内視鏡がうまいだけの、
どこにでもいる偽善者タイプの医者じゃない」
内科医・栗原一止が三十歳になったところで、
信州松本平にある「二十四時間、三百六十五日対応」の本庄病院が、
患者であふれかえっている現実に変わりはない。
夏、新任でやってきた小幡先生は経験も腕も確かで研究熱心、
かつ医療への覚悟が違う。懸命でありさえすれば
万事うまくいくのだと思い込んでいた一止の胸に、
小幡先生の言葉の刃が突き刺さる。
映画もメガヒットの大ベストセラー、第一部完結編。
~BOOKデータベースより~
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●感想
今回は、1作目、2作目とは異なり、
5話+エピローグの、6つの物語・・・というような、
ドラマっぽい構成になっています。
でも、背景には一止の今後の医者としての人生を左右する
大きな物語があって、それぞれの物語を1つに繋いでいます。
物語がしっかり区切られている分、
読みやすくなっている気はするのですが、
その分、1つ1つの物語の感動も小さく区切られたような感じで、
私は1~3作目までで、2作目が1番読みごたえも感動もありました。
ただ、この3作目も、見どころはたくさんあるし、
感動もあるし、ハルは相変わらず素敵な奥さんだし、
東西もハルに負けず劣らずカワイイし、
このシリーズの、1つの区切りでもある3作目なので、
1作目、2作目のファンの方なら、読んで損はないと思います。
今回は、亡くなった古狐先生の代わりにやってきた
大狸先生の一番弟子小幡奈美さんが、本庄病院を引っ掻き回します。
ERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影)では日本でもトップクラスの
札幌稲穂病院から移ってきた優秀な医師で、
ある部分では大狸先生よりも優秀な医師なのですが、
あるトラウマから複雑な過去を持ち、特定の医師や患者に対して
頑なになり、トラブルメーカーとなっています。
他にも、あの砂山次郎が異動することになり、
ここでも、ある意味で意外な感動があります。
また、東西の元彼?が入院してきて、
東西は一止へ片思いをしていたりするので、
もう病院内はややこしいことになってしまいます。
そして、一止が膵癌と診断し、砂山次郎が大手術を行った患者が、
実は膵癌ではなかったという結果となり、一止に最大の苦難が訪れ、
一止は、ある大きな決断をします。
御嶽荘にも旅立ちと新たな出会いがあり、
第一部「完」らしい、素敵な終わり方だったと思います。
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