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●お話
申し分のない学歴や仕事、良き家庭を、
自分の力で勝ち取ってきた良多(福山雅治)。
順風満帆な人生を歩んできたが、ある日、
6年間大切に育ててきた息子が病院内で
他人の子どもと取り違えられていたことが判明する。
血縁か、これまで過ごしてきた時間かという葛藤の中で、
それぞれの家族が苦悩し……。
~シネマトゥデイより~
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●感想
心に染みる良い映画でしたね。
様々な場所で評価が高いのも頷けます。
映画は、
福山雅治さん、尾野真千子さん演じる「野々宮一家」視点で、
取り違え問題に苦悩する家族の様子が描かれていきます。
子供を取り違えられたもう一方の家族が、
リリー・フランキーさん、真木よう子さん演じる「斎木一家」。
物語の序盤で取り違えが発覚し、そこからは、
どうする、という結論が見えないまま、病院が提案する
週末だけ子供を交換してのお泊まり会が始まります。
そもそも、子供を元に戻すのか?今のままで良いのか?
・・・だけでも問題なのに、
弁護士を通して病院と慰謝料を争ったり、
ある家族は、どうせなら二人ともうちの子供にしようと考えたり、
周りは無責任にああしろこうしろとアドバイスするし、
単純な事件じゃないのは想像に難しくないけど、
こういう問題は思っていた以上に複雑なんだな~~
・・・と言うのを改めて思い知らされました。
でもこの映画は、
そういうのを必要以上にドラマチックにはせず、
起こったことを淡々と描いているところが良いのかな?と思う。
淡々と描くことでどちらか一方の家族だけに感情移入することなく、
どちらの家族、どちらの親、子供にも感情移入できて、
取り違え問題を色々な視点から見て、考えて、感じられる
・・・そんな感想を持ちました。
その中でも、特に印象的だったのが、
尾野真千子さん演じる「野々宮みどり」の心理変化。
旦那は仕事が忙しいため、家や子供のことはみどりの仕事。
しかも、野々宮家は一人っ子のため、
みどりの、6年間共に過ごした「慶多」への想いは、
二組の両親の中でも、一番複雑。
そして、福山演じるみどりの夫「良多」。
田舎もんと金にセコイ人にわかりやすい嫌悪感を示す。
なので、てっきり金持ちのボンボンかと思ったら、
実は良多も、元々は田舎もんで貧乏人。
しかも、ダメな父親に愛想を尽かして母親は息子を置いて家を出る。
そして、ダメな父親と再婚相手との間に生まれた弟もいる。
そんな家庭でそんな父親に育てられたため、
理想の家族を作ろうとして、子供へは厳しく接してしまう。
ところが、今回の取り違えから発生したある事件をキッカケに、
自分の想いより、家族の、息子の気持ちを第一に考えるようになり、
また、そうしたことで、6年間共に過ごした慶多の、
父への想いにもようやく気づくことができる。
・・・この流れがね、本当に良かったよ。
最後の、あの後、どうなったんだろうな・・・と、
そんな終わり方をするのも良い余韻を残して良かったと思う。
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俺の家が、この映画と同じ境遇だったら?
・・・そう考えずにはいられないけど、
見る前は、間違いなく6年間共に過ごした子とそのまま。
・・・という答えだったけど、
見終わった後は、答えが出せなくなりました。
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そして父になる・・・感想
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