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●お話
史上最高額―根津・明昌院の千両富くじに沸く江戸の町で、呉服商の大店に盗人が忍び込んだ。同心の伝三郎たちは、その鮮やかな手口から、七年前に八軒の蔵を破った神出鬼没の盗人“疾風の文蔵”の仕業に違いないと確信する。一方、江戸と現代で二重生活を送る元OLの関口優佳=おゆうは、長屋の奥さんから依頼された旦那探しと並行して、現代科学を駆使して伝三郎の捜査に協力するが…。
~Amazonより~
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●感想
1巻2巻が面白かったので、
3巻も買って早速読んでみました。
面白かったぁ。
面白かったぁ・・・けど、
マンネリにならないようにかな?
展開を捻りすぎていて、
本来の面白さが損なわれていた部分もあって、
そこはちょっと残念だった。
今回のお話。
主人公「おゆう」は近所に住む
飾り職人「猪之吉」の妻「おせい」から、
小娘と逃げた旦那を探してほしい。
・・・と言う依頼をされるが、
近所の人だから引き受けはするものの、
どうせ2〜3日でひょっこり帰ってくるさ。
・・・と、真剣には取り合わなかった。
江戸では今、
過去に例のない千両という大金が当たる
富くじ(宝くじ)を販売中で、
祭り好きの江戸の民が大騒ぎになっていた。
そんな最中、
過去に一度も逮捕をされたことがなく、
これまで誰も顔を見たことがないと言う、
伝説の蔵破りと言われた
「疾風の文蔵」率いる盗賊団が、
七年ぶりに江戸に現れ蔵破りを始める。
そのため、
かつてはルパン三世の「銭形」のように、
疾風の文蔵の捜査を専門に行い、
今は定年している
元岡っ引きの「茂三」まで捜査に加え、
同心たちは文蔵の捜査で躍起になっており、
おゆうも、
その捜査に駆り出され、
猪之吉捜しのことなどすっかり忘れていた。
・・・という物語。
今回は、
最終的には、
現代の科学捜査で得た情報が
積もり積もって決め手になるけど、
途中の捜査では、
科学では役立つ情報がほぼ得られないから、
科学捜査もほとんど行われないし、
ネットで調べても何も出てこないので、
現代のその場所(現場)で調べる等の展開もなく、
ベースの物語でしっかり楽しめはするものの、
この小説のウリは、
科学捜査も絡めた推理の面白さなのに、
それが(ほぼ)ないから、
何かが足りないモヤモヤした気分が残りました。
とは言え、
怪しい人物はすぐ特定出来るのに、
そこから先は簡単には推理出来ない見せ方が、
相変わらずとっても巧い。
今回は登場人物も多いけど、
怪しい人物を中心に読み進めていくと、
物語や展開が
しっかり整理されていて読みやすいし、
一見して関係なさそうな
いくつものネタが1つに繋がっていく。
そんな中盤以降の展開は、
いろいろ想像しながら読むことも出来て、
めちゃくちゃワクワクしてきます。
それだけでなく、
主人公「おゆう」は偶然、
江戸と現代の行き来を可能とする
タイムトンネルを見つけただけの、
推理小説好きの元OL。
(現代人であることは隠している)
・・・という人物なのに、
そんなおゆうと、
恋仲一歩手前の同心「鵜飼」は、
おゆうが未来人であることは、
1巻からすでに察知しているのだが、
何の目的で来たどんな人物なのか?
それが判明しないと素直に恋を出来ないので、
必死にその正体を探ろうとしている。
今回は初めて、
それを確かめるためのネタを、
捜査中に仕込んできます。
逆におゆうは、
鵜飼に未来人だとバレている
・・・ということに気づいていないし、
鵜飼も未来人とは知る由もないので、
二人がいつ正体を明かし合うのか?
そういうところも、
このシリーズの面白さの1つですね。
4巻も買ってみようかな。
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