「劇場版マジンガーZ/INFINITY」の脚本家、
小沢高広(うめ)が自ら手掛ける小説版で、
小沢高広(うめ)が原作を手掛ける漫画版
「インターバルピース」の続編でもある。
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●感想
劇場版では尺の関係でカットされたであろう、インターバルピースと劇場版とを繋ぐエピソードがあり、あれは本物だったのか?レプリカだったのか?その謎が解けたのが(個人的には一番)嬉しかったですね。
それから、Dr.ヘルの台詞を文章で読むことにより、Dr.ヘルが、TV版と劇場版で何が違うのか?俺の感じていた疑問が解消しました。それは一番最後に書きます。
まあ、あくまでも俺個人の見解ですけどね。
それ以外にも劇場版の中で、何でもないけどちょっと印象に残った台詞や行動に、本来その前後にもう一言あったり、もう1シーンあって、それにより、何でもないモノに意味が生まれて・・・「へぇ~」みたいなことが多々ありました。
例えば、さやかが甲児のことを
「こいつ、変な論文読んで被れちゃってさ。」みたいに言う台詞がありましたけど、その論文が実は、Dr.ヘルがまだ考古学者だった時代の論文なんです。
例えば、さやかは論文の内容にも疑問を感じているけど、兜甲児が「Dr.ヘル」に被れたみたいだから嫌がっている。青字のさやかの台詞には、そんな含みがあるように感じます。だけど兜甲児は、純粋に「論文の内容」に惹かれてるだけで、たまたま著者がDr.ヘルだった。でも、そのくらい凄い内容だったから、Dr.ヘルも俺も研究者・・・みたいな台詞が出てきたように思いました。
他にも、国連統合軍が作られたのはこれが原因かな?というシーンがあったり、
最終決戦の時のホバーパイルダーが何で二人乗りなの?とかも分かるし、旧光子力研究所を稼働させるために奮闘するエピソードも、劇場版の前に、もう1シーンあって、マジンガーが復活するまでの流れが、より盛り上がる展開となっていました。
しかし、この小説を楽しむポイントは、劇場版を先に見ること
文章自体はとても読みやすいけど、元々漫画家さんみたいなので、文章での状況説明が多少物足りなくて、劇場版を見ずに、小説の内容から劇場版のあの映像を妄想するのは非常に難しいと思います。なので、劇場版を見て気に入った人が読む分には、とっても楽しいと思う。
同じ影響で、戦闘シーンも迫力(説明)が不足しています。ラストの巨大化の辺りも盛り上りに欠けていました。
でもこれを読んで、次にまた劇場版を見たとき、劇場版がもっと楽しめるようになっている気がします。
劇場版を楽しめた人なら、買って損はないと思いますし、インターバルピースも、併せて読むと、より一層楽しめると思います。
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「Dr.ヘル」
劇場版のDr.ヘルは、TV版とは何かが違うと思っていて、最初は多くの人が言うように、人間性とか、当時とは目指しているモノが違うとか、そういうところだと思っていたけど、小説を読んで、俺が感じていたのはそうじゃないのがわかった。
言葉遣いだ
多様性がどうのこうのも、人類を惑わずための詭弁で、Dr.ヘルが本気でそれを考えてる訳ではなさそうだし、根本は何も変わっていないような気もするのに、まるで別人のように感じていた。
でもそれは、言葉遣いが全然違うからだった。
例えば昔のDr.ヘルは「聞いておったわ」「生きておるとは」「でかしたぞ」「戦わせるのじゃ」みたいに、悪代官みたいな言葉遣いをするんです。だからTV版は、他人の言葉に耳を貸さない「偏屈じいさん」みたいな印象だった。
だけど劇場版は、全てを悟り卓越したような言葉遣いで、他人の言葉に耳を貸さないのは同じなのに、その言葉遣いから、話くらいは聞いてやろう・・・みたいな素振りを見せせるんです。TV版と劇場版には、そういう違いがあると感じました。
例えるなら、美味しんぼの序盤と中盤以降の海原雄山ですね。
「兜甲児」
兜甲児は劇場版で、当時のような熱血バカっぽさが薄れ、少し大人しくなったようなイメージで描かれている。それは物語後半で、マジンガーZの復活とともに、あの頃の気持ちを取り戻す・・・そんな演出をしたいがためでもあるし、マジンガーの世界では10年後でも、我々現実の世界では45年が経っていて、昭和のあの頃と平成の今とでは、社会の窮屈さが何十倍、何百倍も強くなっている。だから、そうした社会情勢を反映しての変化でもあると思う。
ただ、俺個人は、兜甲児は対暗黒大将軍では恐怖し涙してもいるから、ただの熱血バカではない印象がある。
でも、多少大人になったように見えても、根本は何も変わってないよ・・・みたいなシーンが、劇場版にはない、リサを起動させるエピソードとともに描かれていました。
「グレート」
小説には書いてないけど、監督のインタビューを読んだら、映画化にあたり、永井豪やダイナミックプロ側から、兜甲児とマジンガーZの物語にすること、それだけが条件として提示されたとありました。グレートがああいう扱いなのは、そのためですね。
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小説読んdら、
劇場版2回目が楽しみになってきた
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